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2014/6/1 [ ガンスミス&キャット 1 ]
アレキサンドリア本部のカウンターで、担当官の曖昧な微笑みを見たとき、俺は、ああ、ダメだったんだなって悟った。
「ごめんなさい、クロウ……いろいろ、当たってはみたんだけれど」
「……そっか」
彼女は、心底、すまなそうに黒いカーボンケースをカウンターに置いた。この中には、一挺の銃が入っている、はず。元々ケースに銃を納めて、彼女に渡したのは俺だ。そうして、謝罪の言葉とともに返ってきた。
――それだけで、すべて分かってしまった。
俺の担当官は、とても、とても優秀な人だ。そんなこと、俺が評価することではないんだけど、とにかく、人の意図を読みとることが格別に上手だし、その上で最善を提案してくれる。だから全面的に(正しい意味で)信頼しているし、そんな彼女が「ごめんなさい」というからには、……ごめんなさい、なんだろう。
そっか。ごめんなさい、か。
俺は、ケースを開けることをしなかった。彼女がごめんなさいというからには、ごめんなさい、だ。この、両手のひらにすっぽり収まるケースの中にいる『彼女』の姿がどうなのか、推して知るべし。
ずん、と、身体の芯から、重苦しい絶望みたいな固まりがこみ上げてきて、それから――…、
諸々...
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